初めて読んだのはもう3年前か。懐かしいな〜〜〜。本当に時間ってあっという間ですね。完結巻です。
2015年、日本。
女性がひとりで家を買うことは、
無謀なのか、堅実なのか。
年収250万ちょっとの独身女性・沼越さんが、
オリンピックを控えた東京で、
理想の家を求めて歩く。
(引用:やわらかスピリッツ - プリンセスメゾン)
自分自身で作る「祈り」
ひとり。ひとりで生きていくこと。人生だれしも頑丈なレールなんてないけど、ひとりというのはなおさら誰も引っ張ってくれない。
じゃあどんなニンジンをぶら下げるようか?という選択肢の中のひとつとして「マンションを買う」が描かれています。
マンションを買うというのは消費活動のひとつだけど、高額なだけあっていろんな要素が付随しますよね。
考え、自分の希望を知り、手の届かない物はあきらめ、選択していく。そういった「動き」が日々の中に起こります。そして家を買うことによって得られるかもしれない安心感とか、未来とか、豊かさとか、そういった希望も毎日のなかに起きていく。
消費とは「自分の大切なものを選ぶこと」でもあって、それは繰り返しの日々を「自分の大切なもののために行動する日々」に変えてくれる行為になるんだなぁと思いました。
自分の不幸は自分で塗り替える
主人公の沼ちゃんはマンションを買うことを「自分の努力しだいで手の届くこと」といいます。
手の届く幸せから目を逸らさないこと、それは孤独を回避する方法の一つなのかもしれない。でもそれって気力がいる。めんどくさい、本当に実現できるかわからない、その分犠牲にしなきゃいけないものがあるようで怖い、みたいな気持ちになってしまう。
私はどんな消費を選択して、どうやって覚悟を決めて、どんな手の届く幸せを掴めばいいんだろう。ひとりで生きていくために必要な杖の一つだと思うから、今はからっぽだけどそろそろ考える時期なのかもしれないなぁと思った作品でした。