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あさのあつこ『透き通った風が吹いて』

大人になるとはどういうことか

 

あさのあつこ先生は『バッテリー』を繰り返し読んでます。新刊ということで、綺麗な表紙にも惹かれてひさびさに読むことに。

 

一冊を通じての主題は「大人になる」ということかなぁと思います。

まぁ、「大人になる」なんて抽象的すぎてよくわからない。本当に「大人」なんて概念あるの?なんて感じることはよくあります。実際何通りもの定義がある言葉だろうし。

 

この本でいう大人とは

自分のやるべきことが明確に見えていること、

自分の夢と他人の夢を区別できること、

戻らないことに対して気持ちを押し込めることができること、

配慮ができること、

納得すること、

とか。もっといろんなことが描かれてるけどこんなことかなと思います。

 

大人になるとはいろんなものを捨てて選ぶことだけど、それは前に進むことであるんだよね。

 

 

自由な意思とはどういうことか

 

私の好きな『バッテリー』は自分自身の意思を持つことについて、中学生の葛藤を通しながら書かれています。

彼らは何度も自分に苛立って他人に苛立ちながら中学生1年生の1年間を過ごす。

「あの子はああいう子だもんね」というなんとなく感じる周りからのレッテル、「うちは医者だからできたら継いでほしいな」っていう親からの期待、1年でレギュラーになっただけで「調子乗るなよ」と言われてしまう空気、そういった社会的な圧力から抜け出して「自分はこれがしたいんだ」と思える自由意志、その象徴が彼らの野球という選択として書かれています。

 

一方で『透き通った風が吹いて』では「社会のしがらみとどう向き合うか」が書かれてるんですよね。

家業を持つ家庭で育った高校三年生が主人公で。

「継いでほしい」という期待に苛立ちを感じながらも、そんな期待に答えられない自分は器が小さい。大人じゃない。そこにまた苛立つ。

 

しがらみに対してどう対応するのか、どう納得するのか。

それを乗り越えてこそ自由意志が持てるし大人になれるよね、ということを感じた一冊でした。

 

透き通った風が吹いて (文春文庫)

透き通った風が吹いて (文春文庫)